日本の冤罪事件 一覧(177件)
当サイトでは、日本国内で「冤罪」または「冤罪の疑い」が指摘された事件、捜査手続に重大な問題があった事件、そして誤認捜査により無実の人物が一時的に被疑者とされた事件を収録している。個別の事件ページでは、逮捕から判決確定・再審までの経過、関連書籍、捜査機関、司法的判断の帰結を構造化された形で閲覧できる。収録対象はすべて一次資料または信頼できる二次資料で裏付けられたものに限る。下記は現時点で収録している全事件の一覧である。
最近追加・更新された事件
当サイトで新規収録または内容を更新した事件です。
大川原化工機事件
2020年、噴霧乾燥器の不正輸出容疑で警視庁公安部が大川原化工機の社長ら3人を逮捕。勾留中に元顧問の相嶋静夫氏が死亡。2021年に検察が起訴取消し。国賠訴訟では現職警察官が「捏造」と証言し、一審・二審とも違法捜査を認定、計約1億6600万円の賠償命令が確定。2025年8月に警視庁・検察が検証結果を公表し19人を処分。2026年1月には都監査委員が捜査幹部個人に賠償金負担を求める異例の勧告、元捜査幹部3人が計528万円を支払い。同年4月には相嶋氏遺族が裁判官37人の責任を問う国賠訴訟を提起。
山中事件(山中温泉殺人事件)
1972年、石川県山中町で白骨遺体が発見された殺人事件。霜上則夫が共犯者Aの自白を根拠に主犯として逮捕され、一審・控訴審で死刑判決。しかし最高裁が破棄差戻しし、1990年に名古屋高裁金沢支部で無罪が確定。物証なし、共犯者の自白は二転三転していた。
大崎事件
1979年、鹿児島県大崎町で男性の変死体が発見。原口アヤ子が共犯者とされた親族3人の自白を根拠に懲役10年。原口は一貫して無実を主張。4度の再審請求で計3度の再審開始決定が出たが、いずれも検察の抗告で覆された。2025年2月に最高裁が第4次再審請求を棄却。2026年1月に第5次再審請求を鹿児島地裁に申立て。検察の抗告権制限の議論を象徴する事件。原口は98歳(2025年6月15日で98歳)。
松橋事件
1985年、熊本県松橋町で男性が刺殺された事件。宮田浩喜が逮捕され懲役13年で服役。「燃やした」と自白した凶器の小刀を検察が実は保管していたことが判明し、2019年に再審無罪確定。証拠開示の問題を象徴する事件。
米谷事件
1952年2月25日、青森県東津軽郡高田村(現・青森市)で57歳の女性が強姦の上殺害され、現金が奪われた事件。警察は「日没後に衣類で顔を覆って歩いてくるところを目撃した」という近所の子供の証言を基に、近くに住む男性A(当時30歳)を3月2日に逮捕。厳しい取調べの末に自白を引き出し起訴した。公判でAは一貫して否認したが、同年12月25日に懲役10年の実刑判決を受け服役、1958年に仮釈放。1966年、別件の窃盗で裁判中だった被害女性の甥(当時33歳、事件当時18歳)が真犯人として名乗り出て、金目的で叔母を絞殺した後に屍姦に及んだと詳細に自供。東京大学法医学教授による鑑定でも甥の自白と被害者の所見が合致したが、殺人罪の公訴時効成立2日前の1967年2月23日に東京地検が甥を起訴。これにより、青森地検・仙台高検がA犯人説を主張する一方で東京地検が甥犯人説を主張するという「検察官同一体の原則」に反するねじれ現象が生じた。甥は公判で否認に転じ、1968年に東京地裁は甥の自供は虚偽として無罪判決。検察が控訴したが、1970年5月5日に甥は自殺し公訴棄却。その後、日弁連の支援のもと再審請求が行われ、1978年7月31日、青森地裁は甥の自白のほうが物的証拠との符合が多く信頼性が高いとして、Aに再審無罪判決を言い渡した。Aは2006年6月29日に死去(享年84)。
最近動きのあった事件
判決・再審開始決定・公判期日・国賠訴訟など、直近の法的手続きが進んだ事件です。
松橋事件 — 国賠控訴審・福岡高裁が国に加え熊本県にも賠償命令
国家賠償請求訴訟の控訴審で、福岡高裁(岡田健裁判長)は、国のみに賠償を命じた一審判決を変更し、国と熊本県に計約2300万円の支払いを命じた。宮田さんは2020年に提訴した後、係争中に死去しており、遺族が訴訟を承継している。
大崎事件 — 弁護団が絞殺実験の結果を新証拠として提出
第5次再審請求審の弁護人たちが、確定判決が認定した殺害方法(西洋タオルによる絞殺)が実際に可能かを検証する実験を実施。結果は「幅広なタオルによる絞殺は著しく困難」というもので、確定判決の根拠となった親族らの自白の信用性を揺るがす新証拠として、実験報告書を鹿児島地裁に提出した。弁護団は「裁判官は確定判決の盲点に気づくべきだ」と主張している。
湖東記念病院事件 — 国賠控訴審・大阪高裁が国への請求を棄却
国家賠償請求訴訟の控訴審で、大阪高裁(長谷部幸弥裁判長)は一審・大津地裁に続き国への請求を棄却した。判決は、西山さんの捜査段階の「自白」について検察官が虚偽と推察することはできなかったとし、「供述弱者」への配慮を求める西山さん側の主張を退けた。西山さんは上告する方針。
柴田町強盗致死事件 — 差戻審・仙台地裁 無罪判決
差し戻し裁判員裁判で、仙台地裁は状況証拠から被告と共犯者の共謀を認めるに足りないとして無罪を言い渡した(求刑 懲役23年)。確定前。
テクノシステム事件 — 元特捜検事の付審判決定
東京地裁は、生田被告に対する違法な取調べをめぐる付審判請求を認め、取調べを担当した元東京地検特捜部検事を特別公務員暴行陵虐罪で審判に付す決定をした。不服申し立てはできず、今後は裁判所が指定する検察官役の弁護士によって公判が開かれる。検事は黙秘の意思を示した生田被告に「検察庁を敵視することは反社や」などと述べたとされる。東京高検は2026年3月、嫌疑不十分として同検事を不起訴にしていた。